ヴィーガンが「白砂糖」を食べないワケ

先月はバレンタインがありましたね。チョコレートを普段より食べてしまった人も多いのではないでしょうか?そんなチョコレートやケーキなど、甘い物に多く含まれている「白砂糖」ですが、実はヴィーガンでは『使わない・食べない』ということをご存知ですか?

なぜ白砂糖を食べないのか、また、甘い物が食べたい場合はどうしているのか、ご紹介したいと思います。

白砂糖を食べない理由は?

そもそもヴィーガンとは、あらゆる動物性のものを生活に取り入れない生活スタイルのことです。そのためヴィーガンは『完全菜食主義者』と言い、食事面では植物性の食品のみを食べ、生活面では毛皮製品を使わない、といったことが実践されています。

問題である白砂糖の多くはサトウキビやてんさい(甜菜/ビートや砂糖大根とも呼ばれる)からできています。そのため、「サトウキビは植物だから、白砂糖はOKなのでは?」と、思われる方も多くいらっしゃいます。

ではなぜ植物なのに食べないのかというと、白砂糖の精製過程で、「骨炭こつたん(牛骨炭)」が使われているためです。骨炭とは、牛の骨を高温で蒸し焼きにし、炭化させて作った炭のことで、不純物を取り除くため、主にろ過や脱色を目的に利用されています。つまり、サトウキビが悪いのではなく、「砂糖の精製過程」で動物が関わっているため、ヴィーガンとしては避けるべき食べ物になったということなのです。

 砂糖の原料

 
砂糖の精製過程

白砂糖には「グラニュー糖」や「上白糖」がありますが、白砂糖ではない「三温糖」のような茶色い砂糖ならヴィーガンが食べても大丈夫なのでしょうか?

答えは「NO」で、白砂糖と同じく精製過程に問題があります。工場ではまず先にグラニュー糖や上白糖などの白い砂糖を作ります。そのとき、残った糖液にはまだ糖分が残っているため、これを煮詰めて結晶にする工程を繰り返します。こうして何度も工程を繰り返すうち、熱によって糖液に色が着いてきます。これが「カラメル化」で、この糖液からできるのが三温糖だったのです。このため、ヴィーガンでは三温糖も避けるべき食べ物なのです。

しかし近年のヴィーガン人口増加により、動物の骨から作られていない「イオン交換樹脂」や「活性炭」を使い、白砂糖を製造するところも出てきたようです。

砂糖の作り方

ヴィーガン以外でも白砂糖を減らした方がいい理由とは?
▼健康への影響

最近では、ヴィーガンでなくても健康面の理由から白砂糖を避けている人が増えてきています。それは、白砂糖による体への悪影響が報告されているからです。

具体的には、

・体を冷やし、免疫力を低下させる・・・・・・・・①

・肌荒れや生理痛などの原因になる・・・・・・・・②

・依存性が高く、鬱のような症状を引き起こす・・・③

といったようなものです。

①『体を冷やす』原因は、白砂糖の吸収の良さにあります。あっという間に吸収されるため、血糖値が急上昇します(※1)。しかし、体の中は血糖値の急上昇に対して膵臓からインスリンが出て血糖値を下げようとする働きをします。この時、血糖値と一緒に体温も一緒に下がってしまうのです。そして、体温が下がると血流が悪くなるため、内臓の働きの低下などを引き起こし、病気などに対抗する免疫細胞が体に行き渡りにくくなり、『免疫力低下』につながってゆきます。

②また、女性に多い冷えや血流の悪さは、『肌のターンオーバー(肌代謝)の乱れ』や、『生理痛』の原因でもあります。生理前や生理中は女性ホルモンの影響で血糖値が下がるため、甘い物を食べたいと思う人が多く、ついつい食べてしまい、さらに生理痛が酷くなるという悪循環に陥ってしまいがちです。

③砂糖には麻薬のような『依存性』があるといわれています。それは、砂糖を摂取すると、脳の中でドーパミンやセロトニンなどの脳内伝達物質が分泌されるからです。これらは、人に幸福感や癒しを与える性質があるため、「砂糖を食べると幸せを感じられる」状態が続くと、脳はこの快感を覚えてしまい、さらに砂糖の入った食べ物を欲する状態になり、糖質(砂糖)依存へと移行してゆきます。

こうなると、血糖値の急上昇に伴う急降下の繰り返しは、ホルモンのバランスを乱し、やたらと眠くなる、疲れやすい、やる気が起きない、集中力が続かないなど、『鬱のような精神疾患が起きやすくなる』という研究結果もあるようです。

そして、さらに血糖値の急な乱高下を繰り返していると、膵臓が正常に働かなくなり、必要以上に血糖値を下げてしまうようになり、逆に低血糖(反応性低血糖)になり、下がりすぎた血糖値のせいでまた甘い物が食べたくなるという悪循環に陥り、最悪はインスリンが枯渇し、糖尿病へとつながります。

健康への影響

▼砂糖の特性

白砂糖は、精製過程でビタミンやミネラルといった栄養素も取り除かれ、純粋に甘みを抽出したものです。【精製糖または分蜜糖(ぶんみつとう)】に分類され、カロリーも高く、精製された砂糖は消化や吸収が早い分、エネルギーの消耗も早いので、GI値(※1)が高めです。これが『白砂糖は体に良くない』と言われる理由です。

<注意>白い砂糖になるのは、決して漂白している訳ではなく、不純物(汚れ)をろ過などで極限まで取り除いた結果です。

(※1)【GI値とは】グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後血糖値の上昇度を示す指数のことです。GI値が高い食材を食べると血糖値が急上昇し、反対に、GI値が低い食材を食べると血糖値は緩やかに上昇します。GI値の高い食品を食べて急激に血糖値が上昇すると、膵臓からインスリンというホルモンが多く分泌されますが、このインスリンは「血糖値を下げる」という働きの他に「脂肪を作る・脂肪の分解を抑制する」という働きがあります。つまり、高GI食品を摂取し、インスリンが多く分泌されると、糖尿病だけでなく、肥満の原因にもなります。

健康や栄養補給に気を付けている方は、【含蜜糖(がんみつとう)】に分類される「てんさい糖・ココナッツシュガー・アガベシロップ」などがおすすめです。これらの砂糖は、完全に精製されていないため、栄養素が残されている上に消化や吸収が緩やかで、GI値が低めなのが特徴です。

(※詳しくは後ほどお伝えいたします)

砂糖の分類

ブドウ糖と果糖が結合してできた砂糖は、脳の大事なエネルギー源でもあります。しかし、健康のことを考えると、白砂糖の摂取は控え目にして、他の砂糖(甘み)に切り替えたほうが良いかもしれません。

 白砂糖の代わりの甘味料は何を使っているの?

●ビートシュガー(てんさい糖)

白砂糖と同じビート(甜菜)の根から作られる。この時、結晶が上白糖になり、糖蜜(液体)を乾燥させたものがビートシュガーになる。白砂糖と違う点は、ビフィズス菌など腸内の善玉菌の栄養源になる成分のオリゴ糖が5%以上含まれている。

●ココナッツシュガー

ココナッツの実ではなく、ココナッツの花の蕾からとれる蜜を煮詰めて作る。

●メープルシロップ

サトウカエデの樹液を煮詰めて作ったもので、固まるまで煮詰めたものがメープルシュガー。ヴィーガンでは、はちみつが食べられないため、代わりに使われることが多い。

●アガベシロップ

お酒のテキーラの材料でもある、メキシコ産のブルーアガベと言う植物から作られる。白砂糖より強い甘みも特徴。

●ライスシロップ(米飴)

米やうるち米、もち米に含まれるデンプンの糖化を利用して作られたもの。日本最古の甘味料とも言われている。

●デーツシロップ

ナツメヤシの実であるデーツを利用して作られたもの。厳しい環境でも耐えられるデーツには栄養が豊富につまっており、シロップにも含まれている。日本ではドライフルーツの方が知られている。

●黒糖

サトウキビのしぼり汁を煮詰めて固めたもの。白砂糖と同じサトウキビから作られるが、精製過程の違いにより、こちらは使うことができる。

このように、白砂糖の代わりになる植物由来の甘味料はたくさんあり、さまざまな食事に取り入れているのです。また、これらの甘味料は未精製のため茶色っぽいことが多く、甘みの中にはたくさんの栄養が含まれているうえ、GI値が低いものも多いです。そのため、ヴィーガンではない人にもぜひ使っていただきたいと思います。もちろん、GI値が低いとはいえ、カロリーが低いわけではないのでその点はご注意ください。

白砂糖の代わりの植物由来の甘味料

×× 植物由来だがあまりオススメできない甘味料「異性化糖」 ××

トウモロコシから作られる甘味料にコーンシロップがあります。そして、コーンシロップのブドウ糖の一部に酵素を使い、果糖に変換(=異性化)した『異性化糖(高果糖コーンシロップ)』というものがあります。異性化糖は、他にもジャガイモやサツマイモに含まれるデンプンから作られ、ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)を主成分とする液状の糖です。安価なのですが、砂糖のように結晶しにくいため、日本では主に「果糖ブドウ糖液糖」が多く使われ、家庭用ではなく業務用として清涼飲料や菓子類などの食品添加物として使用されています。

 異性化糖製品には日本農林規格(JAS)が制定されていて、果糖含有率(糖のうちの果糖の割合)によって呼び方が変わっていきます。

 ・果糖含有率50%未満【ブドウ糖果糖液糖】

・果糖含有率50%以上90%未満【果糖ブドウ糖液糖】

・果糖含有率90%以上【高果糖液糖】

・ブドウ糖果糖液糖あるいは果糖ブドウ糖液糖に10%以上の砂糖を加えた【砂糖混合異性化液糖】

 こんなに細かく分類され、利用されているのになぜオススメできないのでしょうか?それは体内での消化吸収の仕方に問題があります。

 ・ブドウ糖

小腸から吸収されたあと血液中に入り、血液中に糖が増えて血糖値が上がります。そして、インスリンが膵臓から分泌されることで血糖値を下げ、全身の細胞に運ばれ、エネルギーとして利用され、余った分は中性脂肪になります。

・果糖

ほとんどが肝臓で代謝され、インスリンを必要としないので血糖値を上げません。血糖値を上げないのはいいのですが、通常、インスリンを分泌して血糖値が上がることで満腹感や満足感を感じ、食欲が抑えられていますが、血糖値が上がらないと満腹感や満足感を感じない分、食べすぎてしまう可能性があります。この満腹感の違いについては、アメリカのイェール大学にて実験され、違いが明らかになりました。

・異性化糖

はじめからブドウ糖と果糖が分離しているため、体内で分解されることなく血液中に送り出されるので、血糖値が急上昇してしまいます。また、異性化糖が使用された加工品は、口当たりが良いため、飲み過ぎて想像以上に果糖を摂っていても、なかなか実感しにくいうえ、ブドウ糖より吸収の早い大量の果糖は、中性脂肪の元になってしまいます。

異性化糖の原料のとうもろこし

 一方で、果糖は果物に多く含まれますが、果物が体に悪いというわけではありません。果物には、果糖の他にもブドウ糖、ショ糖、多糖類、ビタミン、ミネラル、食物繊維、抗酸化作用のあるフィトケミカルなどの有効な栄養成分も含んでいるため、それらの働きによりゆっくりと吸収されるので、自然の果物を適度に食べる分には問題はありません。

さいごに

ヴィーガンが白砂糖を食べない理由が、その精製過程にあったというのは驚いたことでしょう。ヴィーガンの人もそうではない人も、ホッと一息リラックスできる甘い物を我慢するのは大変です。先ほどご紹介した甘味料を使うことで、無理なく白砂糖から切り替えることもできると思います。それぞれに特徴がある甘味料を使うことで、食生活の幅が広がるかもしれませんね。